大阪地方裁判所 平成4年(わ)4059号 判決
国籍
韓国
住居
大阪市住之江区北加賀屋一丁目三番三二号
漬物製造業
玉本光一こと 全銅
一九三五年一〇月八日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中井隆司出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年及び罰金一八〇〇万円に処する。
右罰金刑を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、大阪市住之江区北加賀屋一丁目三番三二号において、「丸全食品工業所」の名称で漬物製造業を営むものであるが、自己の所得税を免れようと企て
第一 昭和六三年分の総所得金額が七一七四万五二三円であった(別紙(1)総所得金額計算書及び修正損益計算書参照)にもかかわらず、売上の一部を除外する等の方法により右所得の一部を秘匿したうえ、平成元年三月一四日、同市住吉区住吉二丁目一七番三七号所在の所轄住吉税務署において、同税務署長に対し、昭和六三年分の総所得金額が一九五七万四一六一円でこれに対する所得税額が四九七万一九〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額三二七四万五七〇〇円と右申告税額との差額二七七七万三八〇〇円(別紙(4)税額計算書参照)を免れた
第二 平成元年分の総所得金額が七五五七万六一二円であった(別紙(2)総所得金額計算書及び修正損益計算書参照)にもかかわらず、前同様の方法により右所得の一部を秘匿したうえ、平成二年三月一三日、前記住吉税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が一五九一万七五六九円でこれに対する所得税額が三三三万八三〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額三二四九万三〇〇〇円と右申告税額との差額二九一五万四七〇〇円(別紙(4)税額計算書参照)を免れた
第三 平成二年分の総所得金額が七五二八万六八一五円であった(別紙(3)総所得金額計算書及び修正損益計算書参照)にもかかわらず、前同様の方法により右所得の一部を秘匿したうえ、平成三年三月一四日、前記住吉税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が一四五四万七四〇四円でこれに対する所得税額が三三〇万三一〇〇円である旨の内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額三二九九万二〇〇〇円と右申告税額との差額二九六八万八九〇〇円(別紙(4)税額計算書参照)を免れた
ものである。
(証拠の標目)<注>括弧内の算用数字は記録中の証拠等関係カード(検察官請求分)記載の当該番号の証拠を示す。
判示事実全部について
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書二通
一 被告人の大蔵事務官に対する供述調書一〇通
一 柳沢真智子の検察官に対する供述調書
一 萩原晴雄の大蔵事務官に対する供述調書
一 検察事務官作成の捜査報告書
一 収税官吏作成の査察官調査書一九通(9ないし25、27、28)
一 住吉税務署長作成の証明書(8)
判示第一の事実について
一 収税官吏作成の脱税額計算書(1)
一 収税官吏作成の査察官調査書(26)
一 住吉税務署長作成の証明書(4)
判示第二の事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(2)
一 住吉税務署長作成の証明書(5)
判示第三の事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(3)
一 住吉税務署長作成の証明書(6)
(法令の適用)
被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項に該当するところ、いずれも所定の懲役刑と罰金刑とを併科し、かつ、各罪につき情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一年及び罰金一八〇〇万円に処し、同法一八条により、右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 松下潔)
別紙(1)
総所得金額計算書
〈省略〉
修正損益計算書
〈省略〉
別紙(2)
総所得金額計算書
〈省略〉
修正損益計算書
〈省略〉
別紙(3)
総所得金額計算書
〈省略〉
修正損益計算書
〈省略〉
別紙(4)
税額計算書
〈省略〉